浅草ひとり歩き

 私が浅草で初舞台を踏んでから5年の月日が経とうとしています。初舞台以来、毎月一週間から二週間は浅草に通って今日の日を迎えました。なのに振り返ってみると私は浅草の事をなーんにも知らない事に気が付きました。なので今日は浅草東洋館が終演した後に二軒の気になっていたスポットに行ってまいりました。

午後5時、一軒目、どじょう専門店「飯田屋」。趣のある建物で、戸をガラガラと開けると上品な着物のオバサンが迎えてくれました。席は掘りごたつタイプで周りを見渡すと高齢のグループさんが沢山いらっしゃいました。オバサンが「ご注文は?」と聞いてきたので「瓶ビールとどじょう鍋を下さい」と言いました。すると「どじょうはマルでいいの?」と聞かれました。
マル?
実は私はこの日がどじょう鍋初体験なのです。恥を忍んで聞きました。「マルってなんですか?」するとオバサン。「骨ごと丸ごと。あと、骨を抜いたのもあるわよ」その会話を聞いていた隣のテーブルの老夫婦が割り込んできました。「オニイチャン、どじょうは骨抜きにしないで、彼女を骨抜きにしなよ」なるほどね。
どじょう鍋とビール到着。煮立ったら食べなさいと言われたのですが、すぐに煮立ちました。ビールをゆっくり飲もうと思っていた所なのに慌てて、どじょうをつまみました。するとボロボロ崩れました。それでも口に入れると今度は骨が硬く歯にキシキシ挟まってしょうがない。ビールで流し込んでるスキに今度はどじょうが煮立った鍋に張り付いてしまいました。ふんだりけったり。隣の老夫婦を見ると、太ったどじょうをキレイにすくい上げ、ツルンといかにも美味しそうにホクホクと食べていました。くやしい。どうやら私はどじょう鍋の超初心者を露呈してしまった様でした。見かねた店のオバサンが私の鍋に勝手にネギをドカドカ投下してくれました。緑の丘完成。「丘を越えて」のイントロを口ずさみながら食しました。

午後六時半、二軒目、ROXビル4階「浅草まねきねこ」。昭和30年代、歌声喫茶とゆうのが流行りました。馴染みのある唱歌やフォークをみんなで歌い語らう場所。それがカラオケ喫茶となり一ヶ月前に浅草ROXにオープンしたとゆうので一度行こうと思っておりました。看板には「150席、100インチの大画面!お一人でもどうぞ」とあるので一人で潜入しました。中に入ってビックリ。とにかくデカイ。ステージがあり、バックと両サイドに大画面。テーブル席とさじき席が奥までズラーッと並んでいます。ライブハウスやコンサートホール顔負けの機材や照明。そして、何よりも驚いたのが・・・。
お客が私ひとり!!
ぎゃふん。お店の方が「浸透してくると面白いスポットだと思うんですが」と苦笑いしておりましたが、確かに面白いアイディアです。賑わっている中でステージで歌うのは気持ちの良い事だろうと思います。すでに地方都市では成功している例もあるそうで。都内では初めてとの事なので頑張って欲しいものです。そんなエールの気持ちを込めてマチャアキの「さらば恋人」を歌ってきました。さあ、みなさんも浅草まねきねこ、つぶれないうちに体験してきましょう!!!